オナニーの果てに何があるかなんて、俺は知らない、見たこともない。
僕はオナニーが好きだ。
世の中にはオナニーが好きな人もいれば、あるいは好きでない人もいるだろう。
ただ僕が好きな側の人間だったっていうだけの話で、別に君が好きでなくたって何も問題はない。
コカコーラが好きなのかペプシコーラが好きなのか、その程度の違いにしか過ぎない。
些細な違いだ。
ともかく、僕はオナニーが好きだ。
「それで君もオナニーが好きな人、、つまりオナニストなのかい?」
と僕は言った。
「いいや、全く。それどころかこれっぽっちムラムラしない」
と彼は言った。
「それじゃあどうして、何回連続でオナニーできるか検証するの?」
「さあね。これはただの気まぐれかもしれないしあるいは必然的なことなのかもしれない」
僕は不思議そうに首を傾けた。
しかし、彼の胸の中は決意で満ちるようだった。
とても広く、とても深く。
「うん。それで頼みがあるんだけど、1人じゃ心細いから、見守って欲しいんだ。」
「見守って欲しい?」
僕は訊き返す。
「僕は抜く度に君に一言ラインをする、君は電話をかけてきてもいいし、スタンプを押してもいい、ただ、既読だけはつけて欲しい」
「既読だけはつけて欲しいんだ」
やれやれ、心の中でそう呟いて作り笑いで彼に微笑む。
「それじゃあね、」
そう言って彼は3限の専門の講義を受けずに帰っていった。
教授がただ説明を続ける講義は非常に退屈だ。
きちんとノートをとっている学生は半分ほどであるだろう。
全く何のためにここに座っているのか、僕はほっぺたに左手を当てて、しばらく思案していた。
「出た」
一件の通知が彼から届く。
思わず吹き出しそうになるが、ぎりぎりのところで堪える。
ただ彼が射精をしたという事実だけがそこにあった。
返信はしない。
それは気の利いた返しが思いつかなかったからかもしれない。
無理だけはしてほしくないな、と思う。
遠くからフーリエ変換やインパルス応答という言葉が聞こえてくる。
それから大体1時間おきに彼から「出た」と連絡が来ていた。
僕は既読をつけるだけの作業を続ける。
気付けば日付が変わっていた。
そのすぐ後に10回目連絡が来た。
彼に申し訳ないと思いつつ眠ることにした。
起きると8時を少し過ぎていた。
4件の通知が溜まっている。
14回目の連絡は想像とは少し違っていた。
僕は小さく頷くと、グラスに入ったペプシコーラを一息で飲み干した。喉で弾ける炭酸がなんとも心地良かった。
ps14回目はパフって音がして粉が出てきたらしいよ!流石に怖くてやめたらしいよ!次の日ちんこが痛過ぎてベットから起き上がれなかったらしいよ!みんな無理しないでね!